東日本大震災から11日で9年を迎えた。岩手県宮古市田老地区には「万里の長城」と呼ばれる長大な防潮堤がある。東日本大震災の大津波でビクともしなかった。
「津波太郎(田老)」との異名が付けられるほど古くから津波被害が多い地区。何とかしなければと、立ち上がったのが、旧田老町で町長だった関口松太郎さん。無謀だと思われる村費を計上して単独で着手。津波被害で仕事がない漁師さんたちが土盛りをして生計を立て、45年を要して完成。総延長(距離)2.6キロ、高さ10メートルという台形型の防潮堤を築き上げた。残念ながら関口さんは完成を見ることなく昭和12年に亡くなっている。
この防潮堤の特徴は、波に対して船の舳先のように三角形を描くように作られている。波を防ぐのではなく、波の勢力を弱める。長内川と田老川に波を受け流し、避難経路の整備もされている。
スーパー防潮堤は悉く破壊されてしまったが、この防潮堤だけは破壊されなかった。プラス、マイナスの両面あるが、南海トラフ巨大地震に備える当地域。参考になることも多いはず。
【茂】