新宮市の姉妹都市のサンタクルーズ市(アメリカ)から、14~16歳の若者ら訪問団が約1週間来ていた。11日夜に市福祉センターで行われたパーティでは、訪問団がダンスを披露。地元の子どもや大人を巻き込んで楽し気に踊る姿にぐっと来るものがあった。
アメリカに黒人差別の歴史があるように、新宮市でも部落差別の問題がある。人権問題というやつだ。歴史の中には、誇らしいものもあれば後ろめたいものもある。どれもが必要な過程だったなどとは口が裂けても言えないが、しかしどれもが目を向けるべき今につながる足跡である。それだけに、アメリカの若者と地元の人々が同じ音に乗って、楽しそうに踊り見つめ合う姿は、胸にこたえるものがあった。
その数日前には同じ会場で新宮仏教会の平和祈念祭があり、遺族会関係者らが戦没者の冥福と未来の平和を祈った。過去を偲(しの)び未来を描く営みである。
時間も距離も越えて、わかり合うことができる。後ろ暗いものがあっても、新しい日々を生きる私たちは、今目の前にいる人を信じることができる。その尊さをぬくもりと呼びたい。
【稜】