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紀南抄「人口減に思う」

 新宮市の出生数が昨年度、初めて100人を割った。インパクトこそ大きいが、数字は単なる結果であって、本質はそこではない。減ることが問題、問題と言われるが、本当は何が問題なのか。根っこまで掘り下げなければいけない。
 
 政治は目標を定める必要がある。私たちはどこで満足するのかという話だ。「最低限生きていければいい」なら、人口が3400万人程度(推定)だった江戸時代にでも戻ればいいし、「世界一の経済大国になりたい」なら、競争社会で少しでも早く、新しいものを生み出し売り出していかなければならない。
 
 思うに、競争の原理を社会発展の前提に置いた場合は、他との比較で物事を測るため、際限がなくなってしまう。かと言って、前述のように人口も技術力も資本力も江戸時代に戻れば、例えば国土が外資に買い取られ資源を独占されたり、侵略に対し防衛できなかったりと、“日本”を守れなくなる可能性は高い。
 
 先人たちが何を思ってこの土地を生き抜いてきたか、次世代がどうしたら幸福を維持していけるのか、“豊かさ”を問う中で見つけていかなければいけない。
 
【稜】

      紀南紗

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