和歌山県の岸本周平知事が15日、敗血症性ショックにより死去した。県が同日発表した。68歳だった。県によると、14日午前10時15分ごろ、岸本氏と連絡がつかなかったため、秘書らが和歌山市内の知事公舎内を訪ねたところ、意識不明の状態で倒れている岸本氏を発見。同市内の病院に救急搬送され、集中治療室で治療を受けていたが、15日午前9時33分に死亡が確認された。
岸本氏は13日、公務で大阪・関西万博の関西パビリオンのオープニングイベントに参加し、みこしを担ぐなどして和歌山をPRしていた。14日は午後から新宮市でタウンミーティングに出席予定だった。
岸本氏は和歌山市出身。桐蔭高校から東大法学部卒。1980年(昭和55年)に旧大蔵省に入省。2009年(平成21年)に衆院選旧和歌山1区で初当選し、以降連続5回当選。旧民主党政権では経済産業政務官を務めた。5期目途中の2022年(令和4年)に衆院議員を辞職して知事選に立候補し、自民、立憲民主、国民民主の各党の推薦を受けて初当選した。
なお、岸本氏の死去に伴い、知事の職務は宮﨑泉副知事が代理で務める。公職選挙法の規定では、知事が死亡した場合、5日以内に県選管に通知され、通知の翌日から50日以内に選挙が行われる。
県民の意見 大切に
タウンミーティングは54回
岸本氏は知事就任以来、県内各地を訪れて県民の声を直接聞く「タウンミーティング」を積極的に開催。3月25日のみなべ町まで計54回を数えた。新宮東牟婁地方でも全6市町村で開催し、本来であれば14日の新宮市での開催が通算55回目になるはずだった。
昨年5月、新宮市でのタウンミーティングに参加した南紀海彩まつり実行委員長の北道江利さんは、イベントPRのため県庁に知事を表敬訪問した際のことを回顧。「できることは何でもやらせてもらう」との言葉通り、その日のうちに東牟婁振興局長から電話が入ったことを今でも覚えている。タウンミーティングの席でも「これからも応援する」と激励を受け、イベント前にパンフレットを届けた際にも「新宮頑張っているね。地域を盛り上げてくれてありがとう」と声をかけてくれた。一方で、自身が携わるFM新宮にも期待を寄せてもらっていたが、開局が間に合わなかったことに悔いが残るという。北道さんは「いつも力強い言葉をかけてくれた知事で、とても悲しいけど、これからも一生懸命に頑張ることで期待に応えていきたい」と前を向いた。