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社説「連休中に見えた観光の課題」

 ゴールデンウイーク中は天候に恵まれ、当地方各地に大勢の観光客が訪れ、にぎわいを見せた。人口減少が続く中、交流人口拡大によって地域経済の活性化を目指す当地方にとっては大変ありがたいことだが、観光客を受け入れる現場では一部で疲弊しているところがあるようだ。

 田辺市本宮町ではこの連休中も世界遺産の熊野古道歩きや熊野本宮大社などを訪れる国内外からの観光客で宿泊施設が軒並み満室となり、バスも一度に2台出すなどの対応に奔走した。世界遺産熊野本宮館によると、インバウンド(訪日外国人客)が一定数あるところに、連休に合わせて国内客がどっと訪れ、町内宿泊施設の中には手が回らないため、実際の部屋数よりも減らして受け入れたところもあった。例年で見ると、連休中はインバウンドが落ち着き、国内客の対応に重きを置けたが、今年はインバウンドが途切れず、地元の受け入れ態勢として「しんどい」と感じたことを明かした。
 
 近年、よく聞かれる「オーバーツーリズム」。特定の観光地に観光客が過度に集中し、地域住民の生活環境などへの負担が大きくなる状態のことで、今回の本宮の事例もこれに当たると言える。本宮単独で解決することは難しい。新宮市や那智勝浦町など周辺を含めた広域連携を加速させるべきではないか。当地方を訪れる観光客が求めるものは何か。世界遺産、歴史・文化、温泉、風光明媚な景色、そして海の幸・山の幸をふんだんに使った食事…。ニーズを捉え、魅力の発信方法もさまざまな形で行うなど、いま一度、観光の掘り起こしが必要になる。
 
 当地方の観光の中継点となる新宮市。田岡実千年市長は今年、観光に力を入れると公言しているが、受け身ではなく、もっと積極的な仕掛けを見せてほしい。本宮で宿泊があふれるようなら、バスを出して迎えに行くこともできる。また、おもてなしの観点からすると、市内を周遊する観光客に向けた案内看板がまだまだ不足している。単に目的地を表示するだけでなく、地震や津波など有事に備え、海抜や避難場所を表示したものが必要だ。インバウンドがこれだけ多いことを考えると、外国語表記にも対応すべき。連休中に見えた課題に向き合ってもらいたい。
 

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