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紀南抄「木に教わる」

 家に置いている観葉植物。たまに水やりを怠ると、元気をなくす時がある。その時、木は自身の葉の中から、実に見事に、陽光が当たりにくいものやまだ小さいものなど、優先順位の低い順に葉を落としていく。逆に十分な栄養を蓄えて成長していく時には、小さな芽を出し、それが葉になり、少しずつ大きくなっていく。

 この衰弱と成長のあり方からは、学ぶものが大きい。人もまた、元気がなくなった時には、自分の中の最も使っていない部分から衰えていく。逆に成長している時は、睡眠・食事など十分に栄養を蓄えて、少しずつ新しい変化を起こしていく。

 成長というと、体が大きくなったり、能力が身に付いたり、経済成長のグラフのように右肩上がりの様子をイメージするが、本当のところは単なる「変化」のようである。余力を少しだけ新しいところに回してみて、芽が出るか出ないか。出た芽を育て続けられるか。枝葉の広がりがいつの間にか大木になっている。

 十分な栄養と小さな変化。あるいは事業でも、技術でも、勉強、人間関係、地域の伝統でも。最近は、いつ「初めて」に触れただろう。

【稜】

      紀南紗

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