近大新宮高校が6日、水産実習として、近畿大学水産研究所新宮実験場(新宮市高田)でチョウザメとアマゴの養殖実習を行った。内容は体重の計測と記録。飛び跳ねるような勢いで動き回る魚を体重計に乗せて計測するのはなかなかに難しいようで、軽々と作業する生徒もいる一方、生きた魚に触れること自体に苦戦してはしゃぐ生徒もいた。その体験一つ一つが勉強なのだろう。
なぜ勉強するのか。子どもに聞かれたとき、どう答えればよいのだろうか。学者・内田樹の考え方が参考になる。彼は社会をサッカーに例えた。人は誰しもが「遅刻」してきたプレイヤーであり、既に始まっている試合に、体の使い方もルールも知らずに放り込まれたという。何も知らないから必死になってルールや体の使い方を覚えようとする。それが勉強なのかもしれない。
近大新宮高の建学の精神のひとつは「実学教育」。実践的な教育で生きた学習を行っている。学校を飛び出して体を使って命に触れた上で、「水産」という社会があり、その奥に「市場」という社会があることを体験として学べる実習は、かけがえのない社会勉強なのだろうと感じる。
【稜】