3月3日の雛(ひな)祭りは五節句の一つで、桃の節句とも呼ばれている。雛人形を飾り、ひし餅や白酒などを供えるようになったのは、江戸時代になってからのことだ。
今日もっと一般的なひな飾りでは、最上段(一段目)に男女一対の内裏(だいり)ひなを並べる。内裏ひなには男雛と女雛があるが、それぞれ天皇と皇后の姿に似せた人形で、その飾り方にはひな壇に向かって左に男雛、右に女雛を置く方法と、その逆に置く方法がある。
昔は右と左では、左が上位とされていた。だから男雛は左側(向かって右)、女雛を右側に飾るのが本式といわれている。実際、昔はそのように飾ることが多かったようである。
西欧では右が上位とされている。明治時代になり、天皇と皇后が並ばれるとき、西欧にならって天皇が皇后の右側に位置されるようになった。それにしたがい男雛も女雛の右側に飾られるようになり、昭和になってその飾り方が定着し、現在ではそれが標準となっている。
雛祭りなどの伝統行事を人権保育の視点で考えるプロジェクトなどもある。多様性を認める社会で、伝統行事も変わりつつある。
【茂】