歴史的な大接戦になるとみられていた米大統領選は、激戦州を共和党が制し、結果として想定以上に差が広がった。前回の大統領選に関与する刑事裁判を抱え、過激な発言で物議を醸してきたトランプ前大統領を危険視する論評も多かったが、民主主義において選挙の結果は何よりも正しい。
結果論だが、米民主党政権のこの4年間の経済政策が評価されなかったことが最大の要因ではないか、と推測する。買い物で物価上昇は肌で感じる日々ではあるが、日本と欧米のコロナ後のインフレ格差は大きく、賃上げが進んでいたとしても住民の家計、特に低所得者層の不満は大きかったと推測できる。多様性を尊重する社会の構築は重要だが、政治の根源は経世済民であり、日々働く人々の幸福を軽んじる政治への支持は広がらない。
報道に携わる身としては、世論調査と結果の差は気になる。〝隠れトランプ〟は指摘されていたが、報道が有権者の芯を掴みきれていないということ。クジラとカエルのスケールの差はあるが、他山の石としたい。
(R)