「きほくおはよう食堂」が、本年度も行われることになった。回数と場所も増え、社協の職員やボランティアが担い、事業者の寄付が支える。紀北町の善意の塊である。
こども食堂は、「子どもが一人でも行ける無料や低価格で食事を提供する場所」と定義される。全国に広がったのは、貧困家庭の救済だけでなく、孤食の解消や地域間交流などの目的の多様さも要因の一つだろう。
こども食堂は、子どもが親以外の社会の善意に触れる機会でもある。社会への不信感は孤立を招く。困ったときには孤立せず必要な支援に手が伸ばせるように、社会には善意が確かに存在する、と知る機会は必要。
映画『火垂るの墓』で衰弱した幼女がアメ代わりにおはじきをなめていたシーンを思い返す。子どもがお腹いっぱい食べられる世界は絶対に正しい。「親ガチャ」という言葉は好きではないが、環境に恵まれない子どもは確かにいる。「まちガチャ」や「社会ガチャ」に当たる世の中にしていけば、不幸な人は少なくなっていくはずだ。
(R)