1か月ほど前から、財務省解体デモが大きな話題になっている。「103万円の壁」に関する問題から、政府の財政運営批判が高まったことがきっかけ。一方、現場では財務省や財政とは全く関係のない主張も繰り広げられているようだ。
一部企業では過去最大の利益を出し、新卒社員の給与を大きく引き上げる、という報道もあるが、おそらくごく一部の話。4月から年金支給額が引き上げられたようだが、マクロ経済スライドという制度のため「実質的には目減り」という。地域経済は、高校生年代が就職や進学で外部に出て、一層厳しい。
新型コロナウイルス感染症の影響下で給付が行われたため、給付を求める声が強くなっている。「壁」を無くす方向性について同意できるが、財政規律を無くしてしまえば次世代により多くの負担を掛けるし、コロナのように、本当に必要な時に給付ができないことにつながりかねない。「今をなんとかする」と「将来も持続可能」ということをすり合わせるのが政治の役割だろう。
(M)