伊勢音頭に「伊勢は津で持つ津は伊勢で持つ」という文句がある。津はもともと「みなと」の意味で、江戸時代には伊勢参宮の中継地として栄えた。もっとも、藤堂家が治める津藩の城下町であり、おそらく実情は「参宮客で持つ」というような状況ではなかったと思われる。
自分の学生時代は「官公庁と三重大学で持つ」と言われていた。例えば、県庁が四日市にあれば、国の出先機関や大企業の多くの拠点も四日市市に設定されていたことだろう。そして三重大学だが、今年の新入生は1436人。単純計算だが学部だけで約6000人であり、大学院生や職員を含めると大学の周囲には多くの学生・教職員らの衣食住をまかなう経済圏がつくられている。尾鷲市や紀北町の規模の半分を上回るのではないか。
東京一極集中の要因の一つに、大学の関東圏への集中が挙げられることがある。地方から「18歳人口」を吸い上げているのは事実。産業との関わりもあるが、地方での学びの場確保のためにも何らかの規制ができないか。
(M)