動物と目を合わせるのがひそかな趣味だ。一番やりやすいのはトンビ。いろんなところにいて、餌のためかこちらをよく観察している。だから、近くを飛んでいたり電信柱にとまっていたりする時に見上げると、案外目が合う。瞳はキリッと澄んでいながらどこかうるうるしていて美しい。
クジラも目を合わせやすい。これは太地町のくじらの博物館に行けば会える。特に人の少ない時だと、彼らはとても関心を示してくれる。ある時、同館のマリナリュウム施設で、水槽を飛び出してきそうなくらい近づいてくるイルカがいた。面白いのでこっちも水槽に食い込むかというくらい近づいて見つめ合っていたが、やはり鯨類は、それだけでなんだか会話をした気になる。外の生け簀のクジラたちも、そばを歩くだけで近づいてきて声をかけてくれる。
お燈祭りの朝、特殊神饌「かがり御供」作りの現場でも、一羽の小鳥と目が合った。小鳥にしてはものすごく人に近い距離で水浴びをしていて、眺めていると見返してきてキョトンとしていた。
皆さんも、鳥の鳴き声が聞こえた時には目を合わせてみてください。
【稜】