文化財防火デー(1月26日)に合わせて、熊野那智大社と那智山青岸渡寺でそれぞれ防火訓練があった。那智勝浦町消防本部から那智山までは距離があり、通報から到着まで20分程度かかる。火災の場合、早期発見と初期消火が被害を最小限に抑える鍵となる。
訓練は毎年実施しており、職員らで組織する自衛消防隊は各自が与えられた役割を迅速にこなしていた。那智大社では、2か年かけて整備した自動放水銃の試験放水も併せて行われ、正常に稼働することを確認。炎による空気の流れの変化を感知して放水を開始するもので、防火体制が大きく強化された。
青岸渡寺では、火を焚く護摩行も日常的に行うが、高木亮英住職は「大切な文化財を後世に守り伝えていくことがわれわれの使命」と話す通り、職員らが日頃から防火への意識は高く、訓練や消火機器の点検など有事への備えに努めている。
火災は一瞬にして人の命や大切なものを奪う。特に空気が乾燥するこの時期の火災は大火になるおそれがある。まずは一人一人の防火意識。そして、有事の際の迅速な行動(発見・通報・初期消火)が大切だ。
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