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社説「『お燈祭り』本質理解し参加を」

 新宮市の神倉神社例大祭で、国の重要無形民俗文化財に指定される「お燈祭り」(2月6日)。今年の開催が迫り、ムードが高まってきている。お燈祭りが終われば、当地方に春が訪れると言われるように、この時期が寒さのピーク。予報では今年のお燈祭り当日は、最高気温7度、最低気温マイナス1度という寒さで、"お燈らしい一日"になりそう。

 白装束に荒縄を締め、御神火を移した松明(たいまつ)を持って神倉山の山頂から急な石段を駆け降りる男の火祭り。火の神性を畏怖する原始の信仰を伝える奇祭で、1400年以上の歴史がある。祈願者である上り子(のぼりこ/あがりこ)は、心身を清めるために禊(みそぎ)をしたり、食事には白い物だけを食べたりして臨む。
 
 祭典の安全な斎行にあたっては、神倉青年団や神倉神社奉賛会が準備から当日の運営に尽力している。1月中旬には麓から山頂まで538段ある石段にゆるみがないかどうか確認し、危険箇所は速やかに補修。ご神体「ゴトビキ岩」のしめ縄作りも担っている。また、山火事を防ぐために消防関係者による事前清掃・放水も毎年実施。このような裏方の支えがあり、祭りは成り立っている。上野顯宮司は上り子に対して「神聖な祭事に臨む姿勢で」と毎年呼び掛けている。国の重文に指定され、国内のみならず世界からも注目される火祭り。男性であれば誰でも参加できるからこそ、一人一人の自覚と責任が大きい。伝統ある祭りに参加できる喜びを胸に上ってほしい。
 
 祭りの本質や形を正しく後世に伝えていくも大切。学校教育に関しては、お膝元の神倉小学校で、熊野速玉大社の神職を講師に迎えての学習と、「お燈メニュー」の給食が恒例となっているが、新宮市教育委員会は市内ほかの学校でも実施してはどうか。また、上り子の白装束、ワラジ、松明などの製作を担う"職人の技"も継承していかなければならない。職人が少なくなり、福祉施設などでその一端を担ってくれているが、任せきりではなく、関係機関が先頭に立って講習会を毎年開催するなどすれば、その技術は高まるとともに、新たに携わる人でも安心して製作にあたることができる。正しく守り伝えていく意識を関係者一人一人にもってもらいたい。
 

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