先日、北海道の知人が訪ねてきた。みなべ町でトレイルランニングの大会に出て、海岸線がきれいなのでそのまま南下していたら那智勝浦町にたどり着いたという。急きょのことだったので地魚の刺身と白ご飯という簡素なもてなしになってしまったが、喜んでくれた。その時、和歌山はどこで食べても米がおいしい。これはなぜか、と聞かれた。
意識したことはなかったが、言われてみればたしかに。私は「水の国」と言われているくらいだから、水がきれいで豊かな土壌が育つためではないかという思い付きの仮説を立てた。ただ平地が少ないため、生産量は増えずそこまで出回らないのではないかと。彼は「たしかに水もおいしい」と納得した様子だった。
地域の魅力を考える上で、外の目線が大事だというのはよく言われる話である。地元の人にとっては当たり前なことの中に、真の価値が息づいていたりする。理解していたつもりだったが、まさか移住者である自分が気づかされる時が来るとは。視点を変えると景色も変わる。日常の当たり前を、改めていろんな角度から見てみたいと思った。
【稜】