南紀熊野ジオパークで東京大学大学院の井出教授の講演があり、最新の研究で地震予測が難しいことがわかってきたと聞いた。そんな中でも、南海トラフ巨大地震は必ず来るとされている。講演の中でも言及があった。
それによると、日本では25年ほど前、全国約1000か所に高精度のGPSを配置し、観測を始めた。日本列島の変形が、ミリ単位で正確に把握できる。それによると当初、東北地方が東西にスリムになっていたという。この動きは2011年まで続き、それが戻って起こったのが東日本大震災だった。西日本も現在、同じように縮んでいることがわかっている。教授は「誰が見ても間違いなく(形が)戻る。その時に確実に起こるのが南海トラフ巨大地震」とした。
今まで「必ず来る」と言われ、正直なんとなく鵜呑みにしていたが、専門家から根拠を聞くとより現実味が湧く。先日、石川県へ派遣された新宮市立医療センターのDMATチーム代表の龍田医師が言った「明日は我が身」の言葉が脳裏をよぎる。「遠くの家族より近くの他人」というが、事後の心配より事前の行動である。
【稜】