市民憩いの場に定着
新宮市新宮にある渡御前社(わたりごぜんしゃ/通称・御渡神社)で3日、神武社保存会(田花操会長)による例大祭があった。新型コロナウイルスの早期終息も併せて願う神事のほか、餅まきも行われ、地域住民ら30人ほどが参列した。
同神社は、神武天皇を御祭神としており、その命日である毎年4月3日に例大祭を斎行(さいこう)。境内は神武天皇頓宮(とんぐう)跡と伝えられ、江戸時代の文献には熊野速玉大社の末社とも記されている。明治期には熊野速玉大社境内にある新宮神社に合祀(ごうし)されたが、地域住民の働きかけにより昭和46年5月に同地で再建された。普段は同保存会が管理しており、毎年桜の開花時期には市民の憩いの場として定着している。
この日の神事は、熊野速玉大社の西村圭市権禰宜(ごんねぎ)が出仕し斎行。前夜から降っていた雨は神事の合間はやみ、満開の桜のもと、西村権禰宜の祝詞奏上に続き、田花会長と住民らが順に玉串をささげた。
田花会長はあいさつで「市内でも桜の名所として知られ、この場所に来る人が多くなっている。皆さん熱心に管理、掃除してくれているおかげ」と感謝を伝えた。西村権禰宜は「ここを拠点に神武東征を始めた」などと同神社の由緒について説明した後、「これからも皆さんのご協力でこの神社をお守りいただきたい」と呼び掛けた。
神事終了後は、地元有志などの寄付による餅まきも行われ、参列者は飛び交う餅に手を伸ばしていた。