今年の中秋の名月は、9月10日。2年連続で満月だったらしい。中秋とは旧暦の8月15日のことで、必ずしも満月と一致せず1日か2日ずれることが多いが、今年は真ん丸な美しい月を眺めることができた。
私が住む地域には、中秋の名月の日に行われる“芋(いも)たばり”と呼ばれる伝統行事がある。月明かりの下、子どもたちが各家庭の供え物やお菓子をもらって回る風習。毎年、とても楽しみにしている一大イベントだ。わが家ではお菓子を150個ほど用意し、玄関先にススキなどを飾り、カボチャやイモ、ナスビなども置いておいた。
息子たちは、どでかいリュックと45リットルのごみ袋を用意して、時間になると自転車でいそいそと出かけて行った。2時間ほど回って大量のお菓子とともに帰宅し、早速広げてうれしそうに報告してくれた。とても食べきれないほどのとんでもない量のお菓子を前に、おすそ分けしようにも、近所の子どもたちの家も同じような状況なのである。
コロナや高齢化などで、年々お菓子を置く家が減っている。好意に甘えることなく感謝の気持ちを持って、また来年もたばらしてもらいたい。
【織】