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社説「感染拡大の裏で 詐欺にも注意」

 全国各地で新型コロナウイルスの第5波到来と言われ感染者が急増。新宮保健所管内で、先月末から急拡大し初のクラスター(感染者集団)が発生するなど、予断を許さない状況が続いている。

 自治体や地元医師会はこの事態に、住民へのメッセージを発信。「改めて基本的な感染防止対策を徹底するとともに、一人一人の協力でこの難局を乗り切ろう」と呼び掛けている。和歌山県・三重県から毎日発表される感染状況を気にかけている住民も多いだろう。一気に感染が広がったことで住民のコロナに対する危機意識はこれまで以上に高くなっているが、各自治体の支援策にも温度差が生じている。新宮保健所管内はステージ4にもかかわらず、県は何か月か前に和歌山市にしていた支援策を、当地方には何の支援策も打ち出していないのは、同じ県民として不平等ではないのかと思ってしまう。
 
 そんな中、新宮市で先日、介護保険料の還付金名目の詐欺事案があった。60代女性宅に市役所職員を名乗る電話があり、取引銀行を教えてほしい旨を伝え、その後、金融機関を名乗る男から電話が続き、通帳とキャッシュカードを持ってATMに行くよう求められた。御浜町でも高齢女性宅に不審電話があり「去年の7月に介護保険のはがきを送ったのですが、こちらにまだ返事が届いていません。手続きをしないとお金を受け取れません」と言われた。いずれも市役所への確認や家族に相談したため被害はなかったが注意が必要だ。
 
 こうした還付金などの不審電話はコロナが発生する以前からあるが、当地方でコロナ感染が急拡大しことで、市役所(町役場)が新たな支援策の一つを始めたのかと勘違いする可能性がある。コロナ禍の各種支援については、各自治体の広報や報道機関を通じて、こちらも住民に周知徹底してほしい。
 
 これまでの特殊詐欺被害でも、自分は大丈夫と思っていた人がだまされたケースも多々ある。コロナで生活が苦しくなっている人からすれば、支援策に頼りたい気持ちもあるはずだ。こうした心理状況も踏まえ、まずは詐欺被害に遭うことのないよう、自分自身が常に意識することが大切だが、自治体も不審電話があった時だけ注意喚起するのではなく、日頃から、こまめに住民に呼び掛けていくことが必要ではないか。コロナ感染拡大ばかりに意識や気をとらわれずに、住民の大切な財産を守ることにも努めてもらいたい。
 

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