ミステリー作家の東野圭吾さんが68歳で亡くなった。個人としてはよく読んだ作家のひとりで、20年前に友人から勧められた『白夜行』で沼にはまり、106冊を数える著書のうち、我が家の本棚には32冊がある。
ガリレオシリーズ初の長編にして直木賞を受賞した『容疑者Xの献身』、自他とも認めるターニングポイントになったという『秘密』『卒業』『悪意』『新参者』などの加賀恭一郎シリーズ、復讐譚(たん)の『さまよう刃』、友情と殺意を描いた『殺人の門』など語り甲斐のある作品ばかり。東日本大震災前に原発をとりあげた『天空の蜂』も忘れ難い。
ミステリー小説の大家なので暗い作品が多いが、エッセイの『あの頃ぼくらはアホでした』や、短編集の『笑小説』シリーズ、「〝バカ〟を書きたかった」という『時生』はユーモアがあふれている。
1冊選ぶとしたら、やはり白い夜を生きる2人を描いた『白夜行』。続編ともいわれる『幻夜』の解説にある三部作を期待していたが、幻に終わってしまった。
(R)
