非常事態のたびに出回るデマ。「マスクとトイレットペーパーの原料は同じ。マスクの増産に伴って次は紙製品が品薄になる」などとする根も葉もない情報で、業界団体や政府は「在庫は十分ある」「原材料はマスクと異なるパルプ」などとして、冷静な行動を呼び掛けているが、店頭での品薄状態が続く。
デマで思い出すのが、平成28年の熊本地震。「動物園からライオンが逃げ出した」とする虚偽情報を、画像を添えてツイッターで拡散。報道によると、男性は偽計業務妨害容疑で逮捕され、起訴猶予になったという。
起訴猶予は、犯行は行われたと認められるが、比較的軽い罪で、被疑者が深く反省している、被害者と示談したりした場合などに検察が起訴しないこと。前科はつかないが、前歴がつく。
非常事態でのデマは、ただでさえ不安な心理に拍車をかける。ネットが全盛の時代にあってその影響は大きいし、デマを流された方は、その否定に大変な労力を必要とする。騒動はすぐには収まらないし、不安心理に歯止めもなかなかかからない。「悪ふざけでやった」では済まされず、今後も続くようであれば、厳しい対処を考えてもいいのではないか。
(J)