新宮市の丹鶴公民分館は15日、同市下本町の丹鶴体育館で、南海トラフ巨大地震など発生が予想される地震災害を念頭に、市の防災担当職員による講演会を開いた。87人の地区住民が、地震が起こる仕組み、強い揺れへの対処法、平時の備えなどを幅広く学んだ。
市職員は、地震について「海側の岩石の板(プレート)が陸側のプレートを引きずり込むように動かし、限界に達して跳ね上がった時に発生する」と説明。南海トラフ巨大地震に関し、今後30年以内の発生確率が60~90%で、発生時のマグニチュードは東日本大震災の9.0を上回る場合があるとのデータを提示した。新宮・東牟婁地域では1946年にマグニチュード8を記録し、58人の死者を出した地震が発生していることから、「周期を考えると、いつ起きてもおかしくはない。30年、30年としきりに言われるので、何となくずっと後と思っていないか。明日かもしれない」と注意をうながした。
新宮・東牟婁は沿岸地帯で、昨年7月のカムチャツカ半島付近地震の発生時は津波警報が発表され、那智勝浦町でわずかながら津波が観測された。一方で、避難しようとした50代女性が熊野市の国道311号付近で崖下に車ごと落下し死亡した事故にも触れ「パニックにならないように。外出前にハザードマップを確認して、現地で災害に遭遇した場合の行動を考えておいて」と求めた。
日ごろの備えに触れ、「非常用持ち出し袋を準備するように。非常食などはもちろん、重要なのは携帯トイレ。断水すると流せなくなり、劣悪な環境で用を足さざるを得なくなるので、衛生面でも大事になる」と述べた。
同分館は継続的に、同様の講座を開いており、住民の防災意識が薄れないよう取り組んでいる。西孝館長は「災害といっても、(新宮・東牟婁では)風水害ばかりだったので、住民は地震の脅威を忘れているかもしれない。食料の備蓄もしていないだろう。もう一度、防災について見直したい」と意義を強調した。参加者らはメモを取りながら注意深く聞いており、備えの重要性を再認識したようだった。
講演後は、市消防団丹鶴分団が消火器の取り扱いを指導した。
