長島港所属の中型カツオ一本釣り漁船の初出漁は、漁業の町らしい風景だ。数日前から日時を打診しておいて、早い目に岸壁に出かけた。
顔みしりの船主さんが近寄って来た。かつては、遠洋に出て釣るのは日本漁船だけだったが、台湾や中国が、大型船を使い、乱獲するから、資源が減っているようだ。燃料が高い、餌も不漁で高騰。厳しい条件が重なっているという。
1時間近くいたが、他の報道機関は誰も見なかった。こんなことは初めての経験だ。関心が薄れたのだろうか。
若い漁民が主役になる新春行事が、かなり前からインドネシア人研修生が主力だ。弓の祷の的破り、船だんじりの綱引き、腕力の要る場面には彼らが多い。沿岸漁民は高齢化しているから。
2年前の紀北町第2次総合計画がある。住民アンケート(有効回収692票)での「町のイメージ」は、全世代第2位は「水産業のまち」である。
町の魚屋が次々に閉店、この間の新規開店は1軒だけ。町民は魚を食べたくても、スーパー頼りが現状。
総合計画をめくっても、漁礁の設置や藻場の造成などが並んでいるだけで、後継者の増加、漁民の所得向上に直結する施策は見当たらない。
(北)