成年年齢の引き下げで成人式は二十歳の集いに名称こそ変わったものの、旧交を温めるよい機会である。当人や家族だけでなく、就職や進学で故郷を離れる若者が帰って来るこの日の意義は地域にとっても大きい。
紀北町は二十歳の集いを成人の日の前日、1月の第2日曜日に行うのが通例となっているが、この日は相賀神社の八幡祭り、長島の船だんじりと重なる。今年も二十歳の集いから1時間後、船だんじりを待つ沿道で、振り袖姿の若者を見かけた。
愛郷心は、故郷の人や景色、祭りにひもづいて育まれる。例えば、船だんじりであれば、小さい頃はおやつ欲しさに拾っていた飴(あめ)が、大人になるにつれて掛け替えのない思い出に変わっていく。津々浦々で祭りはあるが、自分が当事者である故郷の祭りは何物にも代えがたい。
今後人生で悩む時もあるだろうが、故郷は帰ってよい場所にもなる。今年は心配されていた雨も降らず、二十歳の集いと祭り、地域にとってよい一日になった。
(R)