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不連続線「正月号の取材を振り返って」

 今年の正月号で、「いってらっしゃい」という言葉が重なった。

 島勝浦のけいちゅうの管理者で、Uターンで戻ってきた社長は「僕たちは『いってらっしゃい』にあふれたまちに育ってしまった」と語っている。この地域に限った話ではないが、大学や専門学校が通学圏内にない地域では、当人の希望に関わらず故郷を離れることになる。文部科学省によると令和4年度の高校卒業者のうち、大学や専門学校に進学するのは8割以上。

 紀北町初の子ども食堂では、社協の担当者が「『おはよう』と『いってらっしゃい』を大切にしたい」と話している。この地域の子どもたちに健やかに育ってほしいと思う心に支えられていて、見返りは求められていない。

 乱暴な表現だが、地方で育てた若者を都会に奪われ続ける状況は変わらない。なるべくこの地域に若年層や子育て世代が残ってほしいが、若者にはいろんなものを見て、自分の可能性を模索してほしいとも願う。地方の高齢化と過疎化、東京の一極集中は社会の構造的な問題だ。

(R)

      不連続線

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