尾鷲市、紀北町の経済を支えてきた老舗が一つ、また二つとのれんを下ろしていく。高齢化や後継者不足で今年限りの廃業、閉店が相次ぎ、寂しさを禁じ得ない。土地に根差し愛されてきた店は、地域の歴史であり文化でもある。その分、住民の心に暗い影を落とす。
店がなくなると困るのはわれわれ消費者。あって当たり前と思っていた店がなくなり初めてその存在価値に気づく。なくなった店に代わる買い物を市外に求めたりして、お金が流れ出る。地域経済にとってマイナス以外の何物でもない。店が淘汰されるのを待つだけなのかと自分の無力さも思い知る。
人口減少で疲弊し、一刻の猶予も許されない今、行政を動かすのは住民とはいえ、やはり議会のリードがないと住民から積極的に意見するのは難しい。尾鷲市でも紀北町でも廃業を防ぎ地域の活力を高めるための深い議論を聞いた記憶がない。議員は政策でしのぎを削ってもらわないといけない。各論は後回しにして、当地域存続のための政策を語り合ってほしい。
(N)