地方議員のなり手不足が社会問題化して久しい。全国的に無投票当選者が増えていることが背景にあり、議員報酬の引き上げと絡めた定数減の議論が目立つ。
少子高齢化や人口減少が進む中、定数減は致し方ないが、議員数が減れば減るほど市民の声を拾い上げにくくなる。ちなみに、火力増設問題の最中の1970(昭和45)年の尾鷲市議選は、定数30に50人の候補者がひしめいた。選び放題で「この人」に一票を投じることができた。
半世紀を経た現在の定数は10。女性議員の割合が高いが、年齢層は男女を通じて30代が1人であとは60~70代と高齢に偏っている。市民の多様な声が反映されにくいといえるのではないか。若者が投票しようとしても、同世代の立候補者がいないから投票につながらない。
将来の社会を担う若者が政治を身近に感じ、自分事として考えるよう目覚めさせるのは現職議員の使命でもある。若い世代が希望の持てる有益な議論を尽くす。そんな市議会でなければ、議員を目指す後継者も育たない。
(N)