取材で話を聞く人は、何かの分野に長じて、豊富な人生経験や知見を持ち合わせていることが多い。社会問題などについて貴重な学びが得られるので、本筋から離れるものの、事前に聞いておきたい社会問題を頭の中に抱えながら、質問するタイミングを探っていることがある。
秋の褒章を受章した保護司の方に、犯罪と動機の軽重が釣り合っていない昨今の闇バイトについて尋ねた。「現実味がない。どこか、ゲームのような感覚なのではないか」「更生という観点では新しいケースで、これから社会が向き合っていく問題になる」と話した。「犯罪のない社会は国民の願い」の言葉が印象に残っている。
取材したのは養海院の住職でもあった。養海院といえば華やかな八日薬師について聞くと、うれしそうに昔話を話してくれた。「伝統はつなげいきたいか」と我ながら愚問だと思いながらまとめるように問いかけると、「いきたいか、ではなく、絶対につなげていく」と力強い答えが返ってきた。想定外だが、とてもうれしい言葉である。
(R)