東京や近畿では木枯らしが吹き、冷える日が続く。色づいていく山間と、澄んだ青と夕陽が混ざって淡い紫のような空を見て、心が癒やされる。
尾鷲節コンクールを控え、北川には大漁旗がはためいている。今年は前夜祭や縁日も設ける。前例踏襲でなく、工夫を凝らして盛り上げようという心意気はよい。
衆院選やアメリカ大統領選を経て、国内外では政治的な大きな変革がもたらされた。選挙には活発な議論が必要不可欠だとは理解しているが、誹謗中傷まがいの非難を聞き、意見の相克からの分断を見て、少し気疲れのような気分に陥っていた。
それでも顔を上げれば、このまちの山河はただ美しく、政争の喧騒が遠くなる。朝日をうけながら網を引くように、日々の仕事に精を出し、宝が来てまちが栄えることを願いながら、感謝を胸に生きる。尾鷲節はまさしく、このまちが育んできた人間讃歌といえる。
尾鷲節コンクールには県外からも多くの人が尾鷲を訪れる。ありがたいことであり、尾鷲の財産の一つといえる。
(R)