このほど県立熊野古道センターで行われた第10回「一箱古本市」で、尾鷲市出身で青土社という出版社で営業をしている榎本周平さんが「出版社の仕事とは? 本をつくり、届ける現場」をテーマに講話した。同社の編集の山口岳大さんのほか、他社の編集者も参加し、それぞれの仕事の一幕を披露した。
イベントに登場するきっかけは、九鬼のトンガ坂文庫に営業したことらしい。同文庫の本澤結香さんは「出版社の方の話を聞く機会はこの辺ではないと思うので、機会を作れてよかった」とコメントしていたが、本当に貴重な機会になったと思う。
榎本さんが「発売前重版は営業の敗北」と力強く語っていたのは興味深かった。「初版印刷部数の見込み違い」と手厳しい。また、再販制度についても取り上げ利点、欠点を紹介。その上で「返品が多いのが課題」と話した。
本を読むのは娯楽のためということもあるが、考えたり行動したりする土台を積み上げることと思う。そのような本が増え、本を読む人が増えることを願う。
(M)