仕事柄、人であふれかえった商店街、学生が参加できずに暴れまわったヤーヤ祭りなど、昔の尾鷲を振り返る話を聞く機会が多い。特に、一度見てみたかったのは、華やかににぎわったという夜のまち。過去の新聞を読んだり、まちに残る飲み屋の多さを見ても想像はできるが、なんとなくの域を越えない。
尾鷲旬のコツまみバルでにぎわう飲み屋街を見た時、「きっとこうだったのだろう」と思ったことを覚えている。楽しさはもちろん、大げさに言えば、叶わないと思っていた夢が見えたような、そんな感動があった。飲食がかかわるイベントは多々あるが、コツまみバルは尾鷲の飲み屋文化に根差している。
コロナ禍で中断していたこの3年半の間にはいろんなことがあった。火力発電所の煙突は消え、尾鷲南北インターが開通。湯浅京己投手が飛躍してWBCでも活躍したが、どちらかといえば暗いニュースの方が多かった印象がある。久しぶりの喧騒の中、飲むビールはどんな味がするのか、ちょっと想像がつかない。
(R)