〝脳を焼かれる〟という俗語がある。「衝撃的に好ましく思う」「魅了されて虜になる」という意味合い。現役のプロ野球選手に、脳を焼くような存在が一人いる。
尾鷲市が誇るプロ野球選手3人の中でも、湯浅京己投手の足跡は現時点では頭抜けている。一流の壁にぶち当たった一軍初登板、コロナ禍のシーズンでの快刀乱麻の活躍、オールスターの直球勝負、WBCで日の丸を背負っての堂々とした救援、日本シリーズでの〝湯浅の一球〟—地元出身の欲目を差し引いても華とドラマがある、すばらしい選手である。
その湯浅投手が難病を乗り越えて、544日ぶりに一軍登板を果たした。2試合連続で無失点で切り抜けて胸をなで下ろしながら、あのホールドを積み重ねていった4年前のシーズンを思い出している。
もちろん湯浅投手だけではなく、中日の石伊雄太捕手はスタメン争いに食らいついていて、西武の上田大河投手の先発2試合の内容も悪くない。プロ野球初の尾鷲市出身者対決も決して遠くないだろう。
(R)