この時期の楽しみの一つに野いちごがある。バラ科の草本のうち、山野に生え、イチゴ状の果実を付けるものの総称。子どものころ、よく野山で遊び、野イチゴを見つけてはほおばった。一つ一つ積んで食べたり、片手にまとめてほおばったり。〝自然のおやつ〟を満喫していた。
本州では5月から6月にかけて実を付けるニガイチゴ、クマイチゴ、クサイチゴ、7月にかけて実を付けるナワシロイチゴ、8月にかけて実を付けるクマイチゴ、ヘビイチゴなどがあるとか。意外と品種は多く、ジャムを作る人もいる。
もう一つよく口にしていたのがヤマモモ。こちらは大人になってから梅酒と同様、家で漬けてもらい、ヤマモモ酒としても味わったが、今はヤマモモを取りに行くことはなく、随分ごぶさたしている。
子どもが野山を駆け回ることが少なくなり、おいしいものが手に入る時代で、これら自然のおやつは忘れ去られているが、これも一つの民俗。
地域の活動、またコロナ後を見据えた外来者の受け入れメニューの一つとして、摘み取りから調理までを体験させる手もあるのではないか。自然豊かな当地方、活用できる素材は眠っている。
(J)