高田グリーンランド(GL)の宿泊料金値上げ(入浴料は据え置き)を盛り込んだ条例改正案の採決が、新宮市議会12月定例会最終日に行われ、賛成多数で可決された。議長を除く14人による採決で、賛成9人、反対4人、退席1人だった。
同施設は今年4月、40年以上にわたり運営してきた団体から新たな指定管理者に変わった。指定管理者選定をめぐる昨年12月定例会での議案質疑の際、管理者の代表が現職議員と親子関係であるという点を指摘する声が複数の議員から出たものの、市議会が自ら制定した政治倫理条例に抵触しないことを確認している。しかし、今回の条例改正でもこの部分を持ち出し、議会と当局の癒着が疑われかねないため慎重に審議すべきと反対の立場を示す議員がいた。これについて言えば、昨年12月定例会での議案採決の際に賛成討論しておきながら今回は反対討論という、その時の議員間の仲によって考え方がぶれているように見えてしまう。真っ当な理由を述べているようだが、ルール上何ら問題ないにも関わらず、あえて追及する姿勢が今回最終日の議事進行や反対討論に出ていた。
高田GLの宿泊料改定については、指定管理者が変わる2年前から要望があったとのことだが、これを棚上げにしていた市当局の対応には疑問。施設の老朽化が進んでいるのも明らかだったが、これまでに必要な修繕や改修を行わず、新たな指定管理者からの指摘を受けて対応しようとすれば、背景の分からない市民に誤解を生む可能性があるのは明らか。当局のチェック機関である議会も役割を果たせず、たまたま今回のタイミングで出た値上げだけを捉えた小手先の議論では、高田地区と施設の雇用や発展にはつながらないだろう。
他の自治体の指定管理を見ると、熊野市が現在公募している千枚田オートキャンプ場は、指定管理料を市が負担しないものの、事業者が自ら料金設定できるなど柔軟性を持たせている。
一般的な宿泊施設では、季節や曜日によって料金を変動させている。高田GLでも思い切ったことはできないか。利益が出れば指定管理料を減額できる可能性も広がる。
現在の管理者は当初示した事業計画で、地区と連携しながら、交流人口を増やす新たなイベントや青少年育成事業、老若男女が楽しめる文化行事の開催など、多種多様な取り組みに挑戦するとした通り、初年度から積極的な姿勢を見せている。もちろん、これを継続するとともに、施設利用者の満足度を高めるような取り組みも求められるが、裁量権拡大により、高田の里の新しい魅力創出を期待してもいいのではないか。