年内の運用開始目指す
紀宝町は物資輸送ドローン「DJI FlyCart100」を購入し、年内の運用開始を目指す。中国のドローン開発企業DJIが昨年12月に開発したもので、最大約70キロ程度の荷物を12キロ先まで空輸できる。町は11月の町総合防災訓練で実証実験を行い、操作性を確かめた上で導入する方針だ。町防災対策課によると、同機を購入する自治体は全国で初めてという。
機体は県ドローン協会代表理事の小阪圭一氏が代表を務めるBeacon=松阪市矢津町=から購入。金額は829万4000円で、政府の地域未来交付金を活用するため、町の負担は実質82万円という。納品は8月末を見込む。
機体には強力なアームが備わっており、町は災害時に山間部や孤立地域など車両輸送が困難な地域への輸送を想定する。最大飛行距離は12キロで、14分まで滞空が可能。町の中心地点に保管することで、浅里地区など遠方を含めた大部分をカバーできる。移動速度は秒速12メートル。先行機の「30」は敏捷(びんしょう)性を重視していたため、秒速20メートルのスピードを出せたが、積載量は30キロだった。
町の担当者は「たとえ陸路が寸断されても、医薬品や食料などを運搬できる。自衛隊のヘリが到着するまで一時的に運用して、助けられる命が増えれば」と期待する。
通常、ドローンを操作するには二等無人航空機操縦士の資格が必要となり、15日時点で町職員1人が取得している。有事の際は免除される場合があるが、町は技術と知識量を底上げするため、将来的に課を問わず5人程度の取得を目指す。
一方で、同機は到着地点を入力すれば独自の位置情報認知センサーをもとに飛行するため、長時間操作を続ける必要はない。途中で木や障害物に引っかかった場合、物資を自動的に切り離す機能も装備されている。担当者は「設定さえ済めば、ボタン一つで、自動で運んでくれる。今後、小阪氏ら有識者の助けを借りながら運用方法を練習していく」と意欲を示した。防災訓練後、問題がなければ運用を開始するという。
町はこのほか、小型ポンプ積載消防自動車、トイレトレーラー、トイレカー2台の防災設備の導入も決定。いずれも町議会6月定例会で全会一致により承認を受けた。購入費の合計は7012万7000円で、災害対策と避難支援を急ピッチで進めている。他の自治体では、高知県四万十市で別のドローンによる物資輸送の実証実験が行われ、成功を収めた。
