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社説「「災害級」の夏に十分な備えを」

 6月後半から記録的な暑さが続き、各地の梅雨明けも過去最短・最速を記録するなど、夏本番を前に暑さへの最大級の警戒が必要な事態となった。本紙エリアでも熱中症で救急搬送される事案が相次ぎ、全国では死亡事例も報じられている。

 熱中症といえば、暑さの体感が鈍く、のどの渇きも感じにくい高齢者と、調整機能が十分に発達していない子どもは特に注意が必要。新宮市消防本部によると、熱中症により救急搬送した患者数は令和元年から同3年まで順に、15人、20人、8人だったが、いずれの年も65歳以上が全体の半数以上を占めた。那智勝浦町消防本部、熊野市消防本部の管内でも同様の傾向が見られた。
 
 搬送された高齢者の特徴としては、屋内にいたものの、エアコンを活用せずに我慢したり、日中の最も気温が高い時間帯に不要な外出をしたり。また、新型コロナウイルス対策のマスク着用も、高温多湿の状況では体に負担がかかる場合があり、政府が示すように、屋外でも人と十分な距離が確保できる場合や、会話をしない場合などは外した方がよい。
 
 環境省と気象庁は、熱中症予防対策の一つとして昨年4月から全国を対象に、「熱中症警戒アラート」を運用。熱中症の危険性が極めて高くなると予測された際に、危険な暑さへの注意を呼び掛け、予防行動をとるよう促すための情報だ。
 
 熱中症は、処置が遅れると命を落とす危険がある。厚生労働省の統計によると、2018年の猛暑では1581人が亡くなり「災害級」とされた。ためらうことなくエアコンを使い、小まめに水分を取って塩分を補給するという予防の基本に努め、台風などの自然災害同様、自分の命を守る意識が大切。一人暮らしの高齢者などには家族や近所の人からも促してもらいたい。
 
 猛暑が続く中、電力のひっ迫が懸念されているが、エアコンの使用を控えるのではなく、冷やし過ぎず適正な温度に設定し、フィルターの掃除を2週間に1回行えば、省電力で暑さをしのぐことができる。節電には、不用な照明の消灯や冷蔵庫の開閉回数を減らすなどで協力できる。
 
 暑さの敵は熱中症だけではない。今後、食中毒が発生しやすい気象条件が続くことが予想される。和歌山県は今季早くも6月29日と30日の2日間、県内全域に食中毒注意報を発表した。調理前の手洗いの励行や食品を十分加熱するなど予防を意識し、厳しい夏、体調を崩すことなく乗り切りたい。
 
 住民の健康を守るのも行政の役割の一つ。これまでに述べた、熱中症対策や食中毒予防などについて広報紙で分かりやすく伝えるとともに、日中に公用車で市内を巡回し、繰り返し注意喚起のアナウンスを流してはどうか。また、気象警報の発令時と同じく、熱中症警戒アラートの発令時には防災行政無線で周知してもらいたい。「災害」の犠牲者を出さないために。
 

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