尾鷲市向井にある同市の地域資源活用総合交流施設(夢古道おわせ)の指定管理者が4月1日から、一般社団法人OMOTENASIに代わる。同法人の湯浅しおり代表理事は「(尾鷲には)観光の拠点施設がない。東紀州の観光の拠点にしたい」と意気込む。さまざまな人の意見を聞き、協力を得ながら新しい運営の形を作り上げていくことになる。「これまで築いてきた絆を生かしたい」とも話していた。
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた令和2年度に比べると入浴客数は回復傾向だが、直近のピークだった平成28年度の約8万人に比べると、年間1万人以上利用者が減っている。
尾鷲市のイベントに合わせた営業時間の延長や、海・山ツーデーウオーク時の利用呼び掛け、割引券の配布、「八鬼山山麓イベント実行委員会」による自主イベントなど、現管理者も知恵を絞り汗をかいたが、来訪者が伸び悩んだ。利用者をどのように取り戻すかが、経営面でも地域活性化の観点からも最大の課題。
観光施設だが、おそらく利用者の多くは尾鷲市民あるいは紀北町や熊野市の住民と思われる。地元の人にも観光客にも喜んでもらえる施設運営が求められている。また、拠点となるためには、地域外へのアピールも重要。直接の目的地、あるいは尾鷲市、熊野地域に来た時の立ち寄り先に選んでもらえるような広報宣伝にも、あらためて力を入れる必要がある。
現ホームページには「全国的にも珍しい海洋深層水を使ったお風呂。掘削した温泉ではありませんが、それよりも珍しい深海の海水を使用しております。415メートルもの深海の清浄性や豊富なミネラルの湯は、しっとりと肌になじみ、保湿効果が高く美肌効果が期待されます。全国といわず世界的にも珍しい海洋深層水の湯をお楽しみ下さい」との紹介文が載っている。せっかくの資源が生かされる運営に期待したい。