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社説「公共の跡地 有効活用を」

 新宮市神倉の市有地にあり、市立医療センターに勤務する医師用の住宅として使用されていた神倉医師住宅4棟は2007年6月以降、約18年間空き家状態が続いていることから、市は解体して更地にする方針を示した。旧市民病院で勤務する医師の宿舎として1979年度から80年度にかけて建設された木造2階建て。管理は医療センターが行っているが、老朽化が進み、屋根や壁、軒下の損傷が激しく、保存状態として限界を迎えていたことから、今回判断した。

 医療センターでは、県内外から着任した医師用の住宅として、現在合計11棟を所有。また、必要に応じて部屋を賃貸契約するなどして医師の住居を確保しており、病院から離れた神倉医師住宅は早い段階から必要なくなった。
 
 住む見込みがないのであれば、もっと早く処分すべきだったのではないか。新宮市が2018年に策定した「空家等対策計画」を見ると、「年々増加傾向にある空き家の中には、適正な管理が行われず防災・防犯性の低下、公衆衛生の悪化、景観の阻害など多岐にわたる問題を生じさせ、地域住民の生活に深刻な影響を及ぼしているものもある」としている。市と医療センターの連携不足が招いたことで、指導的立場にある市の建物が長い間放置されたままになっていたことに市民もあきれ顔だ。更地にしたあとの用途は未定だが、神倉小学校にも近いなどの立地を考えると、売却すれば手を挙げる市民はいるだろう。市有地の有効活用を進めるべきではないか。
 
 役割を終えた公共施設のその後の利活用は大きな課題となる。今回のような住宅(宅地)であれば、早々に売却を進めることが市民サービス向上につながる。一方で、旧市立図書館や、統合を控えた城南中学校などは地域のコミュニティーに欠かせない要素の一つであることから、住民の意向も踏まえながら検討を進める必要がある。人口減少や防災対策などを踏まえたまちづくり再編の中では、今後も公共施設の整理縮小の話が出てくるだろう。その際は検討段階から跡地利用までを含めて考えることで、事業を円滑に進めることができる。今回の神倉医師住宅の件を教訓に、当局には先手の取り組みを求めたい。
 

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