あるアニメで、主人公の魔法使いが師匠に、そのまた師匠(大師匠)の元へ連れていかれるシーンがある。大師匠は主人公の強さを認め、好きな魔法をなんでも1つあげようと伝えるが、主人公は「魔法は探している時が1番楽しいから」とこれを断る。すると大師匠は「こいつはだめだ。野心がなさすぎる」と一蹴する。しかし師匠は、主人公を「平和な時代の魔法使い」として、こういう魔法使いが悪の根源たる魔王を倒し新しい時代を開くのだと説いた。
このやり取り、日本の世代間のギャップを巧みに表しているように思う。戦後の「モノ」が足りなかった時代から「カネ」を稼ぐ時代に移行した昭和期。それをガツガツと生き抜いてきた今の40~50代より上の世代から見たら、平成生まれの現役世代は、軟弱で野心がないように見える。ネットが当たり前の平成生まれは、どこか知を掌握したかのような全能感と共に、何かが足りない喪失感で、いつも「金」という結果よりも自分自身の「存在」がそこにいかに介入するかという過程に価値を求める。
時代は不足から満足へ。それでも人は共に生きる。
【稜】