太地町で行われた全国鯨フォーラム。各地のクジラに関わる研究者や漁業者、行政関係者など約150人が集まる会合で、非常にマニアックな話も出て興味深かった。
話題となっていたのが太地町のまちづくりについて。登壇した森下丈二さんは、あらゆる伝統的な活動において「次世代への継承」がテーマとなる中、同町ではクジラで得た恵みをさまざまなところへ分配する仕組みが非常にうまく機能していると評した。
次世代への継承と富の分配。これは政治の基本ではないか。少子高齢化・人口減少が進む中で、多くの自治体が人口増を目指しているが、まずはどこか一部で得た恵みを適切に分配する方が先決に思える。富のあるところは往々にして有力者である場合が多いため、首長がそれをやろうとすると強烈な反動があるのも予想はできる。だが、誰かがやらなければならない。“片田舎”の人間関係に埋もれず、短期的な利益に惑わされず。
美しいこの土地で生きていくために、夢みたいな理想を大声でかかげ、計画と実行と熱量で周囲を巻き込んでいく。これからのまちづくりの正道ではないか。
【稜】