記者の仕事の駆け出しのころ上司から「記事は生き物。一つ一つの記事に魂を込めて書くように」と教わった。当時は、数をこなして早く一人前になりたいという思いで駆け回り、今思えば恥ずかしいような記事を出稿したこともあった。今でもこの言葉を胸に刻み、取材相手や読者の顔を思い浮かべながら執筆するよう心掛けている。
どのような仕事も”作業”になってはダメだ。いわゆるこなすだけの仕事。本紙でも取り上げた、新宮市の国道168号、高田口トンネルで大雨時に悪化した路面に水たまりができる問題。道路管理者の和歌山県は、トンネル入り口に注意喚起の看板を設置した。対応いただきありがたかったが、看板の文字が小さいため、走行中のドライバーが判読できるかは疑問。設置して終わりではなく、ドライバーに周知できるかどうかまで考えるべきでは。
東日本大震災が発生した平成23年、新宮市で市民に義援金を呼び掛ける看板の文字が、明るい印象を与えるポップ体になっており、指摘したことを思い出した。行政の職員も丁寧な仕事を心掛けてほしい。
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