新宮市の中学生が東京大学で学ぶ「中学生研修」の事前学習会があった。今年は世界遺産登録20周年で、那智勝浦町、田辺市本宮町の生徒も合わせ16人が8月5日~8日の日程で濃密なスケジュールに臨む。
地方の課題の1つとして、若い世代がどんどん都会へ出て行ってしまうことにより、人口減少・少子高齢化が加速するということがある。特に当地方には高校卒業後の選択肢が少なく、都会へのあこがれ的な側面も相まって、多くの若者は進学や就職などで大阪や東京などへ移住する傾向にある。
これへの対処の1つとして、地元への愛着を育む「ふるさと学習」が注目されて久しい。今回の中学生研修も熊野を学ぶもので、その1つであるととらえられるが、特筆すべきは”外”に出るという点である。個人的に地元を離れてから地元の魅力や良さ、安心感を覚えた経験があり、大海に出て井の中を知るということは有意義だと感じる。
都会に何があって地方に何がないかを見るのは簡単。都会に何がなくて地方に何があるのかに目を向けると、日本の底力が見えてくる。そういう学びを期待したい。
【稜】