たまに人から相談を受けることがあるが、これに応えるのがなかなか難しい。
一口に相談と言っても、いろいろなタイプがある。解決法はわかっていても一歩を踏み出せない人もいれば、自分が何に困っているのか明確でない人もいる。中にはただ話をしてすっきりしたいだけの人もいる。相手が何を求めているのかを考えるが、自分の見立てが正しいとも限らない。
また、自分はすぐに”答え”を言いたくなる。「なら仕事をやめればいい」「お互いのために言うことは言わなきゃ」「そもそも悩むようなことなのかな」などなど。これらは一見解決法を示しているように思えるが、経験上、大抵の場合は相手の行動を何も変えない。おそらく、第三者が浅知恵で考え付くようなことは、悩んでいる本人も何回も考えているのだ。
結局本気で応じようと思ったら、自分も相談を受けるという安全圏から下りて、当事者くらいリアルに考え、エネルギーを費やし、向き合う必要がある。それは非常に疲れることだ。そう考えると、相談を受けるのに重要な資質なのは思いやりと根性なのかもしれない。
【稜】