昭和63年に全国で初めて「ウミガメ保護条例」を制定し、ウミガメのまちとしてPRする紀宝町。今年も七里御浜海岸(井田海岸)へのアカウミガメの上陸・産卵時期を控え先日、保護監視員の委嘱が行われた。6月1日からパトロールを開始する。
町が集計する資料によると、過去3年、井田海岸には一度も上陸・産卵がない。昭和の終わりから平成にかけて、多い年には30匹以上の上陸があった。その後、浜やせに伴う産卵場所が少なくなったことなどを理由に年々減少している。当初から監視員を務めている男性によると、産卵場所は全盛期の4分の1程度という。産卵しようとしても、適当な場所をなかなか見つけられず、そのまま戻ってしまうというケースもかつてあった。
「何とか今年こそ」の思いは強い。ある関係者は「子どもたちにも見せてあげたい」と話すように、地元の井田小では校内にあるふ化場でアカウミガメの産んだ卵を保護し、ふ化するまでを観察する学習が恒例だった。自分たちで触れる学習は、机上での学習に比べ印象に残り、地元への愛着も一層強くなる。今年はそんな学習の機会が生まれることを願いたい。
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