新宮市営墓地の返還手続き簡素化を求める要望書・請願書が市当局と市議会あてに提出された。現行制度では、墓の移転や墓じまいのために市営墓地を返還しようとすると、墓の使用者(名義人)とその配偶者が存命でない場合、継承権者全員の印鑑証明が必要となる。元は事後トラブルを防ぐための仕組みらしいが、時代が変わり、墓の価値観も多様化している中で、市内の住職らが要望した。
墓の問題はシビアである。手続きが複雑であることによって、返還に及び腰になったり、無縁仏になってしまう例すらあるという。継承権のある兄弟同士の縁が切れてしまっていたり、そもそも本人たちもつながりを認知していない場合も想定できる。新宮にいるのは長男1人だけで、実質その人があらゆる手続きを進めているような場合、他にも相続など手続きがある中で、全員の印鑑を集めるのが難しいからと墓の扱いを後回しにしてしまうことは大いに考えられる。
市は要望も受け、年内には簡素化の制度を整えられるよう進めるとのこと。先立つ人も、受け継ぐ人も負担にならない整備をお願いしたい。
【稜】