地域の祭りの担い手不足が深刻だ。過疎化、少子高齢化により存続や規模縮小の危機に直面している。
今年の引本八幡祭りは手踊りがなく、中学生が行う弓取り神事もあわや中止の危機に瀕していた。祷屋だけでは賄えないということから、他の町が加わった実行委員会を組織して神事を継続した。
気になったのは、雨と寒さも影響したのか、見物人に子どもの姿がなかったこと。小学校がなくなったのだから、仕方がないといえばそれまでだが、閉校によって、住民と子どもが時間と空間を共有できる場は祭りしかなくなった。
引本出身者以外の外部の力も借りないと祭りは継続できなくなっているようだ。継承者を育てるには、常に祭りを絶やしてはならないという意識を自然に植え付けるようにすること。縄張り意識を排除し、他の小中学校が見学する機会や、地域外に出向いて披露して、子どもたちに地域文化の魅力を伝える機会を設けることも必要ではないか。
季節が巡れば1年後、また同様の祭りがやってくる。それでも前を向き、地域の衰退に抗いながら、途切れさせることなく祭りを伝えていきたい。祭りには人と人とをつなぐ潜在力がある。
(N)