尾鷲市の田中教育長が勇退することになり、元教育長の出口氏の選任が市議会にはかられることになった。出口氏の人となりや能力に疑問はないが、この人事には説明が必要な点が2つある。
1つは3年前の議会で出口氏の再任が不同意となったこと。市長と元教育長だけでなく、当時の議会にいた議員も、あの時は何が問題とされていたのか、改めて答える必要がある。
もう1つは出口氏が先の市長選で市長の後援会長を務めていた点。田中教育長の退任の意向が先で、後釜として出口氏に白羽の矢が立ったのが実情だとしても、選挙の論功行賞との批判をいたずらに招きかねない。
市長が批判を承知で出口氏にこだわるのは、余人をもって代えがたい人材だと評価しているからだろう。であれば、市長はなぜ出口氏でなければならないのか、出口氏は尾鷲の教育をどうしていきたいのか、言葉を尽くして説明しなければならない。3年前のように、政治の都合で教育長の不在は許されない。
(R)
