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68年前の父に「会えた」 九鬼駅開設ニュースを上映 聞き込み元にカラー化

 尾鷲市九鬼町の移住体験住宅「みやか・離れ」で12日、「九鬼の懐かし上映会」が開かれ、住民が68年前の九鬼駅開設のニュース番組を鑑賞。カラーでよみがえった映像に「父さんが写ってる」「また、会えた」と感激の声が上がった。

 映像は1957(昭和32)年1月18日放送されたNHK週間ニュース。JR紀勢本線の尾鷲駅~九鬼駅間が開通し、九鬼のまちなみや、大勢が手旗を振って初めて到着する列車を迎え入れる様子を紹介している。
 
 放映当時はモノクロだったが、NHK放送100周年にあたって三重県内の文化や暮らし、産業を記録した映像をカラー化するドキュメンタリー番組が立ち上がり、その一角に九鬼が取り上げられることになった。住民からの聞き込みを元に当時の映像にAIを活用して色をつけていった。
 
 番組に先立って住民などを対象にした上映会は5回に分けて行われ、1回目は住民約30人が参加。映像の冒頭で網をつかんでいる漁師や、喜んで列車を迎え入れる一群を見て、「うちの父がいる」と思わず手を挙げる人もいた。巻き戻して、また見て「間違いない。また会えるなんて。ありがとう」と顔を両手で押さえていた。
 
 映像当時は高校生で旗を振って列車を歓迎していたという三浦さほさん(85)は、映像の中に父親を見つけたという。「モノクロだとそこまで分からなかったが、カラーで見て間違いないと分かった。若いころの父に会えてうれしい。感謝したい」と語った。
 
 番組は「みえスペシャル『からふるシアター(仮)』で、NHK総合で26日(金)午後10時から30分間、三重県内のみで放送。この番組制作のために上映会も撮影が行われていた。NHK津放送局の松尾学コンテンツセンター副部長は「色をつけたことでいろんな記憶を呼び覚ましていったようだった。残している映像をこういったプロセスも使うこともできるんだと実感した」と語った。
 
 今回の企画は元々NHK番組制作に長年携わっていた、九鬼の魚の高付加価値化担当の地域おこし協力隊の安藤範子さんが発案。安藤さんが春ブリPRのために昔の九鬼の映像がないか確認をとったところから、「からふるシアター(仮)」と連携することになった。安藤さんは「こんなにも住民の人が来てくれると思っていなくて、やってよかった。昔はにぎわっていたという九鬼を見てみたいという気持ちがあり、今日の映像を見てやっとその共感が持てた」と語った。
 

      尾鷲市

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