田辺市本宮町の熊野本宮大社で13日、新年への期待を込めた一文字揮ごうがあり、九鬼家隆宮司が大筆を用いて「笑」(わらう)の字を力強く書き上げた。
師走恒例の取り組みで、今年で18回目。例年は本殿前で行うが、今年は建立25周年を迎えた旧社地・大斎原(おおゆのはら)の大鳥居下で実施した。
参拝者が見守る中、九鬼宮司が白衣にたすき掛け姿で一礼。長さ1.3メートルの大筆を手に集中を高めたあと、3メートル四方の布に筆を一気に走らせた。最後に「令和八年丙午(ひのえうま)」と書き添え、大社の印を押して完成させると、参拝者からは拍手が起こった。
「笑」を選んだのは15年ぶり2回目。数日前まではいくつか候補のある中、「子どもにも分かりやすい」と最終的に決めた。
九鬼宮司は「紛争や災害が各地で起こっているが、大変な時にも笑顔を見せることで安心感や勇気を与えることができる。来年は午(うま)年。着実に進む中にも笑顔を忘れないように過ごしてほしい。躍進と飛躍はもちろん、平穏無事と無病息災も願いたい」と思いを寄せるとともに、「私も難しい顔をすることなく、にこやかに過ごしたい」と笑みを見せた。
揮ごうの様子を見守った熊野本宮語り部の会の中岸公(あきら)さんは「緊張感のある中で書き上げた宮司さんの素晴らしい書を見ることができてよかった。静かな空気も大事だが、笑うのも大変良いことだと思う。観光客の皆さんを案内する際は笑顔を意識して接し、本宮の魅力を存分に伝えたい」と話した。
この書は神門前に掲げ、新年の参拝客を迎えるという。
歴代の一文字
- 和(2009年)
- 笑(2010年)
- 根(2011年)
- 煌(2012年)
- 翔(2013年)
- 挑(2014年)
- 成(2015年)
- 気(2016年)
- 励(2017年)
- 叶(2018年)
- 刻(2019年)
- 咲(2020年)
- 前(2021年)
- 今(2022年)
- 力(2023年)
- 運(2024年)
- 思(2025年)
- 笑(2026年)
